ayumiko

殴り書きしかしてない

隣の気配

私「火葬ってなに?」
母『…燃やすってことだよ』
「なんで燃やすの!?」
『……』
「なんで燃やすの!」
『さよならするからだよ』
「さよならだとなんで燃やすの!」
『おばあちゃんとさよならしようね』




お葬式のとき、私は小さくて、火葬がなんなのかわからなかった
けど、いざこれから火葬しますってときに、なんか急にその場の空気が変わったのがわかった
いよいよこの時がきてしまったか…みたいな落胆の気配
ざわついてないのにざわ…っとしてた


いとこもお母さんの兄弟も、いつもと違ってみんな押し黙って、真っ黒い服を着てロボットみたいに折り目正しく動いてる
違う人みたいで、違う世界みたいで
お葬式の最中も、ここは地獄なのかと思っていたけど
火葬の直前、それとは比べ物にならないくらい、はじめてこの世に残酷なことがあるって知ったよ


私はその残酷さに泣いてしまったのだけど

その直後に、さっきまでけろっとしていた姉も泣き出して

少し違和感を感じたのを覚えている


今にして思えば、やはりあのとき感じた違和感は
本物だったのかもしれないなぁ


姉は火葬の意味も知っていただろうに
その前まで、全然悲しむ気配も感じなかったのに
私が泣いたら、姉も“泣いてみる”の


隣に座っていた姉は最初から
「無」そのものだった
姉からはなんにも感じなかった


子供だったから、それがどう周りの人と違うのかも気にしていなかったけど

今考えてみるとゾッとする、あの気配


気持ち悪い…







なんにもないってこわいね
1あったらそれを大きくすることができる
0だとなんにもならない
大きくするもなにも、はじめから存在しないのだから


存在しないのに、パフォーマンスはお上手で

悪気がなく、人を陥れ、
それでなにかを得たとしても
罪悪感もなければ勝ち誇ったように笑うでもない

ただ当然のように
そこにいるだけ



悪気ないってやばいよ
悪気あって悪いことするのもひどいものだけど
悪いことだと思ってすらいないんだから
改善の余地もない

なにを言っても
「通じない」ってことなんだから


同じ、人間の姿をしていながら…